Zlader – 様々なジャンルのマッシュアップにより創造される唯一無二の電子音楽

Interviews

今回は、複数のジャンルを実験的にマッシュアップし、エッジの効いた進化を続ける One-and-Only なプロデューサー Zladerさんにお話しを伺いました。

私はカリフォルニア州出身の、メタル音楽を原点とした音楽愛好家/プロデューサー/ミュージシャンです。現在はミズーリ州の森に囲まれた静かな町に住んでいます。元々はステージに雷鳴をとどろかせるようなパフォーマンスをしていたのですが、様々なジャンルの音楽制作をすることにより、自分の音楽的嗜好を進化させてきました。

メタルバンドに長年在籍していときはリードギタリストのポジションで曲の構成や曲作りをすることが多かったんです。国際的なアーティストと一緒に演奏したこともあります。その中でも特に印象に残っているのはFear Factoryです。

私は、80年代の音楽とビデオゲームのサウンドトラックにインスパイアされ音楽を始めました。それは現在も音楽の道を進み続けるモチベーションとなっています。

-ご出身はどちらですか?

カリフォルニア州、セントラルバレーです。

-主なジャンルは何ですか?

Lofi-Hiphop、Darktrap/Witchouse、G-Funkなど、様々なジャンルです。

-音楽制作を始めてどのくらいになりますか?

20年です。

-最新作とその背景についてお聞かせくださいますか?

「\\Omen」はLo-fi/Dark Trap/Death Dreamのアルバムで、当初はそれらのジャンルで自分を表現しようと思っていませんでした。つまり、突然やろうと思ったんです。

実はある時、友人から「眠りにつくためのローファイ音楽を作ってくれないか」と頼まれたんです。私はこれまでローファイに取り組んだことはなかったのですが、このクリエイティブなプロセスは、これまでの自分を解放するのに最適な方法だと思ったのです。ローファイは以前からよく聴いていたので、曲の構成だけでなく必要な要素もよく分かっていたんです。ローファイサウンドを創ってみて、その音は自分のドグマ(偏見)の一面を表現していることに気づくとともに、自分のポジティブな心の状態を反映させることで自由になれることを知りました。しかし、この気づきは私の別の一面を認めることにもなったのです。

私は16年以上前から、社会の風潮に悩まされ精神的なパニックを感じてきました。政府の権力や様々な産業や企業が共謀し社会的な道筋を操作しているという考えが、いつも私の心に重くのしかかっていました。この音楽はそんな自分と向き合い、健全な形で吐き出す手助けをしてくれていると感じています。とはいえ、そんなことを気にしないほど自己中心的な人間にはなれたわけでないんですけどね。

ローファイを始める前は、ウィッチハウスやダークトラップをよく聴いていたんですが、このジャンルはうまくやれば、あまり違和感なくお互いに歩み寄れるんじゃないかと直感しました。私には、何世紀にもわたって最悪の事態を迎えている文明のフラストレーション、カオス、激しさを表現するジャンルが必要だったのです。また、奈落の底に落ちていくような自分の正気を振り返るためにもね(笑)。

アルバムの構成が先にあったんです。最初はローファイ・ヒップホップの影響を受けた静かでリラックスした感じで始まり、後に不協和音が強くなり、振り子のゼロ点の手前で物事が壊れようとしていることを示唆するようなアルバムを作りたかったんです。途中、ローファイとダークトラップという2つのジャンルの架け橋となるようなトラックが登場するのですが、そのアイデアはDevin Townsendのアルバム『Deconstruction』の1曲目「Praise the Lowered」を聴いていて思いつきました。あとはダーク・トラップやウィッチ・ハウスからの影響が続き、最後はデス・ドリーム・トラック(絶対零度)で締めくくられます。

そして、このアルバムを書いていくうちに、そのコンセプトがより具体的になっていきました。文明の振り子の揺れを、もっと短いタイムスパンで表現できたらいいなと思ったんです。たとえば日常に満足している普通の人が、ある日突然、強烈な超自然体験をすることですべてが狂ってしまい、預言者になってしまうというような。これは文明の動きを音で表現した風刺であるとも言えます。風刺といっても、オカルトや民俗学への風刺的な言及が多く、決して叙情的なものではありません。全体として、このアルバムは死の夢をテーマにしており、各曲のタイトルが物語を暗示しています。

いくつかの曲は、未来のヴィジョンに影響され「人類が考えを改めなければ、最後には惑星の神々にすべてを奪われる」と考える人々の心境を短いフレーズで表現しています。そこで、プロモビデオのミーム(有名な画像ネタのこと)を組み合わせて、リスナーにプロジェクトの概要とそれに伴う楽曲の予告をすることにしました。そこにオカルト的な要素も盛り込みました。

オカルトの文献の多くは、土星崇拝を中心に展開されています。グノーシス主義(3世紀から4世紀にかけて 地中海世界 で勢力を持った宗教・思想)では、デミウルジがサタンであることが知られており、その名前は惑星サターンの名に由来しています。
土星は元々、私たちの創造主ではありますが、あまりにも極悪非道で自己中心的でした。私たちは土星のエゴを満たすために創られ、それを崇拝することを要求されたのです。光をもたらすことによってその魔力から解放された人類は、生命の枯れた木ではなく、知識の木をかじることによって、その魔力を手に入れることになるのです。すべての魂はセフィロトの樹と呼ばれるものから創造されています。

地球の人口が増えすぎると、セフィロトの樹が新しい魂を生み出せなくなり、世界の終末すなわち黙示録が訪れるのです。人類の魂は、この宇宙の母(セフィロトの樹)が、想像を超えた存在すなわち創造主に到達しようとして自壊する前に残された遺物です。その傲慢な行為から、デミウルジと物質界が生まれたのです。

土星の北極にある六角形の嵐は、私たちの惑星と意識をつなぐ領域であり本質であると言われていて、「ブラックキューブ」または「マシン」の名で知られています。だから、アルバムの最後の曲は「return Machine(Unified_Consciousness)」というタイトルにしたのです。
私は、プログラミングとコンピュータ・ディレクトリーの構文を使って、私たちの没落に決定的な影響を与えるであろう要素の1つ、AI(人工知能)を曲の中で示唆し、この宇宙がホログラフィック・プログラムであることを表現しました。
セフィロトの樹を通して私たちの魂が再生され別の時間軸で再び戻ってくるならば、意識は創造の根源に戻るのです。

面白いことに、太陽系初期の惑星移動では、土星がなければ地球は存在しなかったのです。皆さん、ぜひ調べてみてください(笑)。

このアルバムが、聴く人の想像力を刺激し思考を喚起するものになれば嬉しいです。
私の曲が、自分の目線で体験できる場所へ皆さんをいざない、そこから何か持ち帰ってもらえるものがあればいいなと思います。私にとって、心の奥底に迫るような音楽を作ることができました。

[Promo Video # 3. The final promo for up-coming album, “\\omen”]

-2022年以降の音楽業界はどうなると思いますか?

まだ残っているといいんですけどね(笑)。僕らにとっては、より簡単になると同時に、より難しくなっているとも思います。音楽業界はオンラインで自由に音楽を共有できるようになったことでより飽和状態になりつつあり、リーチを伸ばすのは難しくなっていると言えます。

最近はレーベルに頼らず自分たちでチームを組んで必要な時に必要なものを提供できるようになってきているのが楽しいですね。自分たちでは対処できない借金を背負う必要もないし、万が一アルバムが失敗しても、何も返さなくていいからです。
我々インディーズアーティストは、レーベルに依存せず自分自身を管理するスタンスでやっているので結果に対する恐れはそれほどありません。しかし唯一考えられるマイナス面は、大きな失敗の可能性がないため、自分自身に対する責任が希薄になることでしょう。

ソーシャルメディアによって、アーティストが複数のストリーミングプラットフォームで音楽を配信しやすくなった今、より優れた著作権管理システム構築が望まれます。それにより、皆さんが私たちの音楽を共有しやすくなればいいなと思います。つまりユーザーは権利の侵害を恐れることなく、ビデオゲームのストリームで私たちの音楽を再生・共有し、同時にアーティスト側のロイヤリティも適切に守られるようになってほしいと思います。

-あなたの人生に最も影響を与えたアーティストは誰ですか?

Devin Townsendです。彼がいたからこそ私は多くの音楽に心を開き、いくつかのジャンルだけでなくもっと多くのことをやりたいと思うようになったのです。彼は自分がやりたいと思ったタイミングで自分がやりたい音楽を売り込むことが可能であることを教えてくれました。

彼の音楽やインタビューを聴くまでは、業界は私にとって窮屈な思いをさせられるところだと思っていました。でも彼の存在を知って、音楽的にどんな檻からも解放された気がしたんです。

-他のアーティストとの違いは何だと思われますか?

私たちは皆、ある程度はお互いに異なっているのだと思います。私のプロセスも他の人とは違うでしょうし。
私はインスピレーションを与えてくれる音楽を多く聴き、そこから何かを得ようとしてきました。作曲中に音の実験をすることが多いのですが、おそらく最初に取り組むのがそれでしょう。他にも複数のジャンルに取り組んでいるアーティストがいるので、実験しているのは自分だけではないと思っています。でも、正反対の音楽同士をマッシュアップすることで、独自のエッジを見つけることができるのは自分の強みだと思っています。
ミキシングやマスタリングは試行錯誤しながら這い上がっている最中ですが、作曲の値打ちや
サウンドデザインは唯一無二だと思います。

ただ、僕は誰かと比較するためにこのゲームに参加しているわけではなくて、昨日の自分より良くなろうと思っているだけなんです。

-夢のコラボレーションは誰でしょう?

Devin TownsendかMike Pattonとコラボできたらいいなと思います。彼らはシンセウェーブというジャンルに最も精通しているプロデューサーでありながら、他を圧するような振る舞いをせず、地に足がついているように見えます。それに興味深い話をたくさんしてくれそうですし。

-初めて買ったアルバムは何ですか?

自分のお金で買ったアルバムは覚えていませんが、初めて買ってもらったのは小学校3年生の時です。誕生日に映画『Mortal Kombat』のサントラを欲しがったんです。
それからは、映画で聴いた電子音楽がずっと好きだったんですけど……すぐに変わりましたね。fear factoryの “Zero Signal “を聴いて以来ヘビーメタルに走るようになったんです。

-今、一番好きな曲は何ですか?

The Juan Macleanの “You Were a Runaway “です。
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-好きな言葉は何ですか?

The ones I can use to present someone’s shadow to themselves.

-他にどんな趣味や関心がありますか?

オカルトの研究、レトロゲームのプレイ、世の中を観察することなどです。

-今後のプロジェクトについて教えてください。

今作っているアルバムは「 \\OMEN 」の続編で、あえて「セフィロトの樹」を超えるデスドリームアルバムにしようと思っているんです。そのコンセプトにはサプライズがあります。4曲入りのアルバムですけれど、どれも長い曲になりそうです。その後「Faust McCree」名義で「Bizarre Requiem」を書いた時のようなアルバムを作ろうと思っています。そのアルバムは「The Book of Faust」というタイトルで、今のプロジェクト名「Zlader」でリリースする予定です。

-何か一言お願いします。

“You don’t come back from infinity Andy”

おかげさまで、読み応えのある充実したインタビューとなりました。future-player.comは、これからもZladerさんを応援していきます。

English version is here♪

Interview with Zlader
‎This time, we get to know Zlader in this exclusive interview and gain a closer look of what goes into his multi-genre m...

 

 

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